つんつるてんってどこの方言?:死語と化した言葉の語源・意味とは

つんつるてんってどこの方言? 語る

「つんつるてんって、どこの方言なの?」そう疑問に思ったあなたへ。

この言葉ってなんとなく聞き覚えはあるけれど、意味や使い方、ましてや語源までは知らない…。そんなモヤモヤを感じたことはありませんか?

この記事では「つんつるてん」という言葉の意味や使われ方はもちろん、どこかの方言なのか標準語なのか、語源や成り立ち。さらには「死語」とされる理由まで丁寧に解説します。

読み終えた頃には「そういうことだったのか」とストンと腑に落ちるはず。ちょっとした言葉の正体を知ることで、会話の中でも一歩先を行けるかもしれません。

 

「つんつるてん」は方言?標準語?その正体を解説

「つんつるてん」は実は全国的に使われている言葉

「つんつるてん」は実は全国的に使われている言葉

つんつるてんと聞いて「どこの方言なんだろう?」と感じた人は少なくないはずです。

音の響きが少し砕けていて「どこか地方っぽさ」を感じさせますし、日常的に頻繁に耳にする言葉でもないため「関西の言葉?」「年配の人が使う表現かな?」という印象を持たれがちです。

でも実は「つんつるてん」は標準語として国語辞典にも掲載されている、れっきとした一般語です。特定の地域に限定されて使われているわけではなく、全国的に知られた言葉に分類されます。

とはいえ会話の中で登場する機会はそれほど多くありません。使われる頻度が低いぶん、地域によって「耳慣れ度」に差があり、なんとなく方言のように感じてしまうのかもしれません。

標準語なのに距離を感じるという、少し不思議な立ち位置の言葉とも言えます。

どんな意味?どんな場面で使われる?

どんな意味?どんな場面で使われる?

つんつるてんは、衣類のサイズが明らかに小さい状態を表す言葉です。特に子どもの成長が早い時期には、少し前までちょうどよかった服がある日突然パツパツになっていることもありますよね。

そんなときに「あら、つんつるてんになっちゃって」と親や祖父母が声をかける ― そんな場面で使われることが多い表現です。

袖や裾から手足が不自然に見えてしまって、「サイズ合ってないな」とすぐに気づける状態。ズボンの丈が短くてくるぶしが丸見えになっているときなども、まさに「つんつるてん」と呼べるシーンです。

どこかユーモラスな響きを持ちながらも、誰が見ても「ひと目でわかる」見た目の状態を的確に表す実用的な言葉とも言えるでしょう。

なぜ方言のように聞こえるのか?

なぜ方言のように聞こえるのか?

つんつるてんが方言っぽく聞こえる理由には、まず語感の特徴が挙げられます。「〜てん」という語尾にはどこか昔ながらの言い回しや、関西・信州など一部地域の方言を思わせる響きがあります。

さらにこの言葉をよく使うのは年配の方が多く、若い世代ではあまり耳にする機会がありません。

SNSやテレビ番組などのメディアでも見かけにくいため、特定の世代や地域でしか通じない言葉なのでは?と誤解されやすいのです。

また教科書などではまず登場しないため「聞いたことがない=方言」と思い込んでしまうパターンもあります。

とはいえ、実際には全国的に意味が通じる「隠れ標準語」。知らなくても困らないけれど知っているとなんだかクセになる、そんな不思議な言葉なのです。

「つんつるてん」の語源と「死語っぽさ」の正体

「つんつるてん」の語源と「死語っぽさ」の正体

つんつるてんという言葉には明確な起源があるわけではありませんが、語感から成り立ちを推測することはできます。

「つん」は突き出た様子、「つる」は伸びきった状態、「てん」は語尾を整える音、といった意味が組み合わさり、江戸〜明治期にはすでに庶民の間で使われていたとされています。

現在では年配の方を中心に使われていますが、若い世代にはあまり馴染みがないため「死語では?」と感じる人もいるかもしれません。

確かにSNSなどでは見かけにくいものの、会話の中では今でも使われている「現役」の言葉です。「消えた言葉」ではなく、「静かに残っている言葉」と捉えるのが実態に近いかもしれません。

 

「つんつるてん」を勘違いしていたのはなぜ?

混乱の原因は「似た音」の言葉が多すぎること

混乱の原因は「似た音」の言葉が多すぎること

つんつるてんって、聞いたことはあるけど正確な意味までは思い出せない…そんな人も多いかもしれません。その一因として、「音が似ている言葉が多すぎる」という日本語特有の事情があると思います。

たとえば次のように、「す」や「つ」から始まるリズム感のある表現が非常に多くあります。しかもそれぞれが何となくイメージで通じてしまうので、頭の中で勝手に意味を補完してしまいがちです。

  • つるつる坊主:髪が全くない、ピカピカに剃られた頭のこと。
  • てるてる坊主:晴天を願って吊るす手作りの人形。
  • すってんてん:お金や財産がすっかり無くなった状態のこと。
  • すっからかん:中身が完全に空っぽな様子。財布や容器などに。
  • すっぽんぽん:何も身に着けていない、完全な全裸状態のこと。
  • すっころりん:勢いよく転倒すること。子ども向けの言い方。
  • すっとんとん:おむすびころりんにて、おむすびが転がる様子。

「あ〜そんな感じの言葉あったよね」と思っていたけど、実は別の言葉だった ― まさに「名前は知ってるけど何をしてる人か知らない芸能人」状態。

音の印象だけで曖昧に覚えている言葉って、意外と多いのかもしれません。

「なんとなくわかる」は実は大きな思い込み

「なんとなくわかる」は実は大きな思い込み

「つんつるてん?あー、たぶんあれでしょ?」という「なんとなく知ってる気がする言葉」、誰しも一つはありますよね。でもこの「なんとなく」の理解って、意外と落とし穴です。

なぜなら意味をきちんと確認しないまま日常会話で使わずにいると、いざ説明が必要になった場面で「あれ…なんだっけ?」と急に戸惑ってしまうことがあるからです。

さらに似た音の言葉と混同して誤解したまま記憶されていることも多く、「転んだときに使う言葉じゃなかったっけ?」と思っている人も実際に存在します。(実は以前の私もそうでした)

曖昧なままで済ませられてしまう言葉ほど、実は意味がずれて覚えられがち。気づかぬうちに勘違いしているケースも少なくありません。

なぜ今まで気づかずにスルーできていたのか?

なぜ今まで気づかずにスルーできていたのか?

つんつるてんという言葉は知らなくても困らないため、ついスルーされやすい傾向があります。

たとえばファミレスで隣の家族が子どもに向かって「つんつるてんになっちゃったね」と話していても、「全部食べたのかな?」くらいにしか捉えられず、深く考えることは少ないかもしれません。

それは脳が「すっからかん」などの似た語感の言葉に自動変換して聞き取ってしまうからです。結果として何となく理解したつもりになり、「つんつるてん」の意味を正しく知る機会を逃してしまうのです。

さらに「つんつるてん」は使われる場面が限られており、「今すぐ覚えなければ」という緊急性もありません。

実際にこの記事を読んでいる方も自分の身近で「つんつるてん」という発言を耳にし、「今さら聞けないけど意味を知らない…」と焦ってこの記事に辿り着いたのではないでしょうか。

つまり今回あなたがこの記事に辿り着いたのは、きっと人生で初めて「つんつるてんという言葉を知らないと困る瞬間」に出くわしたからだと思います。

 

まとめ

つんつるてんってどこの方言?:死語と化した言葉の語源・意味とは

つんつるてんは方言のように感じられるものの、実は国語辞典にも載っている標準語のひとつです。

服のサイズが合っていないときなど、見た目に違和感がある状態を表すユニークな表現として今でも一定の世代には自然に使われています。

ただし使われる頻度が低く似た音の言葉も多いため、「知ってるつもり」で曖昧に覚えていた人も多かったのではないでしょうか。

今回の記事を通して「なんとなく知ってる言葉」にひそむ思い込みや勘違いに気づくきっかけになれば嬉しいです。

編集後記

編集後記

つんつるてんという言葉、私もかつてちょっとした「やらかし」をしたことがあるんです。

学生時代、友人との会話で「つんつるてんって、転ぶことじゃないの?」って私が言ったんです。するとその場が一瞬静かになって「いやそれ“すってんてん”でしょ!」と一斉にツッコまれました(笑)。

私は完全に「転ぶ=つんつるてん」と思い込んでいたんですが、よくよく考えると「すってんてん」や「すっぽんぽん」などの似た音の言葉が多すぎて、頭の中がごっちゃになってたんです。

でも後から考えてみたら、あのとき私を笑った人たちも実は「すってんてん」の意味(お金や財産がすっかり無くなった状態のこと」)をちゃんと分かっていなかったんですよね。

つんつるてんは方言じゃないのに方言っぽく聞こえるし、似たような言葉が多すぎて知らないままでも会話が成り立ってしまう。

そんな言葉だからこそ、正しく知っておかないと意外な場面で恥をかくこともあるのかなと思います。この記事が、あなたの「なんとなく知ってた」を一歩深めるきっかけになってくれたらうれしいです。

 

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