静岡おでんを食べてみたものの、「なんかイマイチ…」と感じてしまった人に向けて書きました。
そもそも黒い見た目が気になるし、味も思っていたおでんとは全然違う。黒くてペラペラしたイワシ団子みたいなのを「はんぺん」とか呼んでるし、おでん横丁があれだけ混んでる理由も分からない。
そんな違和感を持ってしまうと、自分の舌がおかしいの?と、引っかかってしまいますよね。
この記事では、静岡おでんをまずいと感じやすい理由と、それでも地元で長く親しまれてきた背景を、実体験も交えながら紹介します。
読むことで「あの独特なおでん」がなぜ静岡名物になったのか…、腑に落ちるはずです。
静岡おでんが「まずい」のは普通です

静岡おでんを食べてみたものの、「あれ、なんか…まずくない?」と感じた方、その感覚はおかしくありません。
ちなみに私自身は横浜生まれですが、母は静岡生まれで祖父も生粋の静岡っ子という、わりと静岡おでんに馴染みのある人間です。
そんな私でも、他地域の人が静岡おでんに違和感を持つのは自然だと思っています。名物と聞けばどうしても期待値は上がるし、せっかく静岡に来たなら美味しいものを食べてみたい。

そう思って食べるからこそ、あの黒い見た目や独特な匂い、黒はんぺんのソワっとした食感に「ん??」となりやすいんだと思います。
また、口コミで高評価を獲得してるようなスポットは小さなお店が多く、雰囲気も独特。
周りが「美味しい!」と言っていると「自分の舌だけが変なのか」と不安になりますが…、そこはまず安心して大丈夫です。
静岡おでんを「まずい」と感じる理由


静岡おでんを「まずい」と感じやすいのは、多くの人が思い浮かべる「おでん」とは違うからだと思います。
一般的に「おでん」と聞くと、出汁がやさしくて野菜がホクホク、練り物もふんわりした、温かい鍋料理を想像しがちです。が…、静岡おでんは基本的に全ての具材が串にぶっ刺さり、見た目は黒。
同じ醤油文化の関東人が見ても、静岡おでんは「なんで醤油入れちゃった?」という感じ。ちなみにこの黒は、「醤油を入れたおでんを、同じ鍋で継ぎ足しながら煮込む」ことによって生まれます。


そんな静岡では、「黒はんぺん」を普通に「はんぺん」と呼び、「東京ではスポンジ(白はんぺんのこと)を食うらしいぞ、ガッハッハ」と冗談を言うこともあったりします。
こういった独特の食文化がある静岡に、普段から「やさしい出汁で煮たスポンジ」を食べてる人が行ったら…まずく感じるのは当然でしょう。
静岡おでんに関する「リアルな話」
静岡おでんは「家庭料理じゃない」

おでんと聞くと、家庭料理を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。家で作って鍋を囲んだり、コンビニで買ってビールで流し込んだり、おでんって「そういう身近な食べ物」ですよね。
でも「静岡おでん」と聞いて想像されるような、串に刺さって黒く煮えたあの姿は、静岡の家庭で普通に作られるものではありません。
全部の具材に串を打ち、何日も継ぎ足して煮込むやり方は、一般家庭では再現が難しいからです。

実際、静岡の人も家でおでんを作ることはありますが…、それは全国的にも一般的な「あの優しくてホッコリするおでん」に近いもの。
私の母も静岡生まれですが、子供の頃によく作ってくれたのは「東京式のおでん」でした。
つまり静岡おでんは、家の中から出来上がったものではなく、外の店や売店で育ってきた名物だと考えるのが自然だということです。
静岡おでんは「おやつ」と「つまみ」


「外の店や売店で育った」と言いましたが ─ かつて、静岡おでんは「子供にはおやつ」で「大人には酒の肴」だったようです。
昭和24年生まれの母が小学生の頃、公園で遊んでいると、おでんを自転車の荷台に積んだおじさんが一本5円で売りに来たそうです。
当時の子供たちは、お小遣いでおでんを買うのが楽しみで、まさに「おやつ代わり」だったとか。串を打ってあったのは、アイスキャンデー的な「食べやすさ」と「売りやすさ」からなのかも。


一方で大人にとっては、飲み屋で気軽につまめる存在でもありました。うちの祖父も「行きつけ」のおでんが美味いと言って、自前の鍋におでんを詰めてもらい、バイクで持ち帰ろうとしたほどです。
結局、途中で転んで道路にぶちまけたそうですが…。そんなアホ話も含め、静岡おでんは生活に深く入り込んでいたんだと思います。
私も最初は「本当にまずい」と思った


そんな私が初めて静岡おでんと出会ったのは、夏休みに静岡へ帰省した際に行ったプールの売店。まだ小学低学年だったと思います。
今でこそ静岡おでんを「普通に美味しい」と思えるようになった私ですが…、あのドス黒い色と独特な匂いに、当時はかなり戸惑いました。
母は懐かしさもあって「おでん食べようよ!」と勧めてくるのですが…、子供的にはかき氷の方が魅力的。

結局、母に押し切られて食べてみましたが、家のおでんとは味が違いすぎるし、正直不味すぎて…「お残し」を母に押し付けることになりました。
ただ、大人になってから妻と静岡へ行き、似たようなお店で改めて食べた時、不思議と「ああ、懐かしい…」と、私は「あの時の母と同じセリフ」を言ってしまったんです。
ちなみに、そのとき初めて食べた東京出身の妻は、普通に「うーん、微妙…」と言っていました。なので、20年くらい経てば、美味しく感じるようになるのかも…しれないですね。







コメント