「しょっぱいものが食べたい…これって何かの栄養不足?」─ そんな疑問を持ったことがある方に向けて、この記事ではその裏側にある「栄養の偏り」や「心の状態」をわかりやすく解説していきます。
しょっぱいものが食べたくなるのは「甘いものを食べ過ぎたから」ではなく、体や心からのメッセージを送っているから、なんてことも少なくありません。
この記事を読むことで、自分が食べたい「しょっぱグルメ」をもとに、栄養バランスやストレスの有無に気づけるようになります。
なんとなく塩気が欲しい日を、ちょっとだけ自分の状態を知るチャンスに変えてみませんか?
しょっぱいものが食べたい時に起きているコト
体のサイン:栄養不足が原因のケース

「しょっぱいもの」が無性に食べたくなるとき、体は「何かが足りていない」というサインを出している可能性があります。
まず考えられるのが、発汗や脱水によってナトリウムやミネラルが失われているケース。これは特に夏の暑い日や運動後や、風邪や下痢で体液が減っているときに起こりやすい反応です。
またタンパク質不足でホルモンバランスが崩れていたり、代謝が落ちている場合も「しょっぱいもの」が食べたくなりがち。
さらに水分だけを摂って塩分を避けすぎていたり、過度なダイエットや偏った食生活が続くことなどでもミネラルバランスが崩れ、逆に「しょっぱいもの」が食べたくなってしまいます。
つまりこの「しょっぱいものが食べたい!」という感覚は、体の内部が整っていないサインと言えるかもしれません。
心のサイン:ストレスや感情が原因のケース

「しょっぱいもの」が無性に食べたくなるとき、体の問題ではなく「心がサインを送っている」こともあります。
人は精神的なストレスや緊張状態が続くと、交感神経が優位になり味覚が鈍くなってしまい、普段よりも「強い味を欲してしまう」もの。
特に疲労や不安、怒り、寂しさといった感情が積み重なると、「しょっぱいもの」で気分をパ〜ッ!と切り替えようとする反応が出やすくなります。
これは刺激のある味を通して気持ちをリセットしようとする、心の防衛本能のようなものです。また甘いものと交互に食べたくなってしまうのは「情緒が揺らいでいるサイン」。
ストレスで太った…なんて経験、多かれ少なかれ、誰でもあるのではないでしょうか?「しょっぱいもの」が無性に恋しくなるのは、心が助けを求めている瞬間だったりします。
食べたい「しょっぱさ」でわかる体の状態
「塩そのもの系」が食べたい時

シンプルに「塩気だけが欲しい」と感じるとき、それは体がナトリウムやミネラルの不足を訴えているサインかもしれません。
汗をかいた後やサウナで大量に発汗したあと、あるいは風邪で熱が出た時など。体内のミネラルバランスが崩れると、体は自然に塩を欲するようになります。
こういったタイミングでは、水分だけでなく塩分も一緒に補わないと体調が回復しにくくなるため、「塩だけ舐めたい」「しょっぱい煎餅が食べたい」といった欲求につながることがあります。
特に真夏の屋外作業後や、食欲が落ちているときに「しょっぱいものが食べたくなる」感覚は、ある意味「体の防衛反応」です。
スポーツドリンクや塩分補給タブレットなども効果的ですが、日常的には味噌汁や梅干しなど、自然な形で塩分を補える食品で整えるのが理想的です。
「脂と塩の組み合わせ系」が食べたい時

ポテチが無性に食べたい時、それは「体と心の両方からのメッセージ」かもしれません。人は疲労がたまっていたり、エネルギーが不足しているときには、脂質と塩分を同時に欲する傾向があります。
それは、脂質は効率よくエネルギーになる栄養素で、そこに塩気が加わることで「満たされた感」が強まりやすくなるからです。
またストレスやイライラが重なると脳が快楽物質であるドーパミンを求め、味の強い食べ物に手が伸びることもあります。
ポテトチップス、フライドポテトなど、サクッとした食感と「快楽的なしょっぱさ」は、まさに脳へのご褒美として選ばれがち。
こうした欲求は「疲れてるよ」「休もうよ」という心のサインであることも多いため、食べたあとに罪悪感をもつよりも、自分を労わるきっかけとして受け止めてあげましょう。
「発酵うま味系」が食べたい時

味噌や醤油、漬物、チーズなど、発酵食品を無性に食べたくなる時は、体が「整えたい」と感じているサインかもしれません。
発酵食品にはうま味成分だけでなく、腸内環境を整える働きや、消化吸収をサポートする栄養素が豊富に含まれています。
腸内環境が乱れていたり、タンパク質の摂取が不足していると、無意識のうちにこれらの「うま味のあるしょっぱいもの」に手が伸びやすくなります。
特に疲れがたまっている時や、生活リズムが乱れているときなどに起こりやすく、体の内側から立て直そうとする自然な反応。
実はこれ、「栄養バランスを戻したい!」という深い欲求が隠れている可能性もあったりします。
でも特に「チーズが食べたい!」って思ってるなら、「チーズが食べたい時に足りない栄養」を確認してみるといいかもしれません。詳しくはこちら。

「汁もの・出汁系」が食べたい時

温かいスープや味噌汁、中華スープなど、「汁もの」を無性に飲みたくなるときは、体の水分や塩分が不足しているサインかもしれません。
特に、疲労がたまっていたり、体が冷えているとき、あるいは脱水ぎみの状態では、自然と「しょっぱくて温かい汁」を欲するようになります。
これは、水分と塩分を同時に補給するための体の働きといえます。また、味の濃い出汁やスープは「包まれるような安心感」が得られやすいため、心が疲れているときにも手が伸びやすい傾向があります。
出汁に含まれるうま味成分にはリラックス効果もあるとされ、知らず知らずのうちに「心の回復」を求めている場合も。
体を温め、気持ちも落ち着けてくれる汁もの系の欲求は、まさに「休みたい」「整えたい」という体と心の共鳴と言えるかもしれません。
ラーメンが食べたい時

ラーメンを無性に食べたくなる時、それは体も心も「速攻で満たされたい!」と叫んでいる状態です。
塩分、脂質、炭水化物、そして温かさと旨味!これらすべてが一杯に詰まったラーメンは、エネルギー不足やストレス、脱水や冷えなどが重なった時に最も選ばれやすいメニューです。
こってり系を求めるなら「満たされたい」欲求が、あっさり系なら「整えたい」気持ちが強く出ているケースもあります。
スープは体液バランスを整え、脂は満足感を与え、麺は脳を黙らせる ─ ラーメンまさに、自分を回復させる手段のひとつ。
この「ラーメン欲」の裏には、身体的・精神的な疲れのサインが潜んでいることもあります。無理に我慢せず、自分の状態を見つめるきっかけにしてみてください。
なお、「ラーメンが食べたい時に足りない栄養」に関する記事はこちらです。

さいごに:塩を悪者にしがちな現代社会

塩は命を支える大切なミネラルで、不足すれば脱水や痙攣、血圧低下などにつながります。
でも現代では「摂りすぎ」のほうが問題視され、厚労省が定める目標摂取量(1日あたり)も、この15年で10gから7.5gへ引き下げられました。でもこの数値、日本食の文化とはギャップがあります。
実際、1947年の所要摂取量(最低限の目標摂取量)は、なんと15g。
かつての日本は「一汁一菜(ご飯、味噌汁、おかず1品に漬物程度)」が基本だったので、たぶん味噌汁や漬物の塩味で白メシを食べていたのでしょう。それを1日3食して約15g。
つまり「塩」自体は必要な栄養素だということ。でもいまは飽食の時代で、当時より運動量も少ない。
なので必要な「塩」をキッチリ摂りつつも、過剰な分はしっかり「減塩」する。そんな塩マネジメントが、日本人にも求められています。







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