カニカカ日誌で食べ歩きの記事を書き、姉妹サイトの「沼探」では沼や水辺を歩いているクマゴロさん。いったい普段はどんな生活をしているのか。
なぜ食べ歩きの記事を書き、なぜあんなに変なことを楽しそうに続けているのか。今回は、クマゴロさんの普段の暮らしや食の好み、記事づくりへの考え方について話を聞いてみた。
普段は意外と普通のサラリーマン

クマゴロさんと聞くと、いつもどこかを歩き回っている人のように見えるかもしれない。だが、本人に普段の生活を聞いてみると、答えは意外なほど普通だった。
「普段は普通にサラリーマンをしています。意外かもしれないんですけど、わりと理系っぽい仕事ですね。」
仕事は在宅が多く、毎日外に出ているわけではないという。
カニカカ日誌に出てくる外食記事は、出社や出張のタイミング、あるいは姉妹サイトである「沼探」の取材で出かけたときに食べたものを写真に残し、記事にしているそうだ。

「外食の記事は、出社したときや出張したときに食べたものが多いですね。あとは沼探で出かけたときに、その場所で食べたものを紹介する感じです。」
それ以外の記事については、これまでの自分の知識や経験、調べた内容をもとに書くことが多いという。つまり、毎日派手に食べ歩いているわけではない。
普段は家で仕事をしながら、空いた時間で調べたり、書いたりしている。カニカカ日誌は、そうした生活から生まれているサイトだということだ。

食への欲求は意外とシンプルだった

食べ物の記事を書いている人と聞くと、かなりのグルメを想像するかもしれない。しかし、クマゴロさんは自分の食の好みについて、かなりあっさり話してくれた。
「自分自身、あんまり美味しいものを食べたいという欲求はないんです。空腹が満たされればいい、という感覚に近いですね。」
高級料理を食べたい、その土地の名物を絶対に食べたい ─ そういう欲求は、実はあまり強くないという。むしろ自宅での食事は、かなり質素だ。
「家では、ちゃんと出汁を取った汁物とごはんが基本です。汁物は奥さんが丁寧に作ってくれて、具材もたくさん入っています。お米は雑穀米を混ぜています。」

一時期は米にも強くこだわったことがあったが、こだわり始めるとキリがないため、今はスーパーで買える米に雑穀を混ぜ、少し良い炊飯器で炊くスタイルに落ち着いたという。
「最近、国産メーカーの少し良い炊飯器を買ったんですけど、それでお米が格段に美味しくなることを知ってしまって。お米と、ちゃんと作った汁物だけで意外と満足できるんです。」
魚も、派手なものより青魚が好きだという。さんまや鯖のような、日常に近い魚が好みなんだとか。本人いわく、理想の食事は「江戸時代の食事」に近いらしい。

外に出た日はワルワルデーになる

家では質素な食事を好む一方、外に出た日は少し様子が変わる。
「家にいる日は江戸時代の食事。でも、外に出た日はワルワルデーにしようと思っています。」
この言葉が、カニカカ日誌らしさをかなりよく表している。普段は汁物とごはんで満足しているが、出社や出張、取材で外に出た日はラーメンや町中華、定食のような外食を楽しんでいる。
毎日そればかりではないからこそ、外で食べるメシがちょっとした楽しみになる。

「さすがに毎日ずっと質素な食事だけだと飽きると思うんです。だから、外に出た日はワルワルしてもいいかなと。」
カニカカ日誌に並ぶ食べ歩きの記事は、単なるグルメ紹介ではない。普段は家で静かに過ごしている人が、外に出た日に少しだけ羽目を外す。そんな記録でもあるようだ。

自分らしいのは人に何かを伝えているとき

クマゴロさんに、自分らしいと感じる時間について聞いてみると、その答えは食べているときでも、歩いているときでもなかった。
「自分らしいなと感じるのは、人に何かを伝えているときだと思います。」
記事として、文章や写真や図で伝えることもそうだが、それはブログの中だけの話ではない。仕事でも、昔から人に物事をわかりやすく伝えることが得意だったという。

「何かを分析したり、毎日同じ作業をずっと続けたりするのは得意じゃないんです。でも、面白おかしく、簡単にわかりやすく伝えることは昔から好きでした。」
沼を歩くことも、食べたものを記事にすることも、根っこには「人に伝えること」がある。複雑なものを噛み砕き、見たものや感じたことを言葉にする。
その作業が好きだからこそ、カニカカ日誌も沼探も続いているのかもしれない。

やりたくないのは売るための記事

サイトを運営している以上、収益化とは無関係ではいられない。「カニカカ日誌」や「沼探」にも広告は貼っている。それでも、クマゴロさんには今のところ避けていることがある。
「自分が儲けるためだけの記事は、やりたくないですね。」
もちろん、広告を貼っている以上、収益化していないわけではない。本人もそこは認めている。ただ、今はアフィリエイトには手を出していないという。
「アフィリエイトをはじめた瞬間に、その商品を売るための記事になっちゃうじゃないですか。その商品が、本当に素晴らしいかどうかは関係なく…ね。」

読者を誘導して商品を買わせることが目的になる。それは今の自分がやりたいこととは違うと感じているそうだ。
「まあいずれは…やるかもしれませんけど?笑。でも今のところは、やりたくないと思っています。」
このあたりの感覚は、カニカカ日誌の空気にもつながっている。うまいものを絶対に褒めるわけではない。流行っているから取り上げるわけでもない。
自分が見たもの、食べたもの、感じたことを、自分の言葉で書く。その距離感を大事にしているように見えた。

普通だけど少し変な人だった

話を聞いてみると、クマゴロさんはかなり普通の人だった。普段はサラリーマンとして働き、家では質素なごはんを食べ、外に出た日は少しだけワルワルする。
派手なグルメ欲があるわけでもないし、何か大きな野望を掲げているわけでもない。ただし、普通のままでは終わらない。沼を歩く。食べたものを記事にする。しょうもないことを面白がる。
そして、それを人に伝えようとする。本人にとって大事なのは、特別なことをしているかどうかではない。自分が楽しんでいるかどうか。その楽しさを、どうやって人に伝えるかだ。

カニカカ日誌にあるのは、立派なグルメ論ではない。すごい成功談でもない。普通のサラリーマンが、日常の中で見つけた変な楽しみを、少し大げさに、でも本気で書いている記録なんだと思う。
クマゴロさんは、普通だけど少し変な人だった。そしてたぶん、その少し変なところが、カニカカ日誌の一番おもしろいところなのかもしれない。


