焼肉屋のメニューを見て「カルビ一皿でこの値段?」とドン引きした人や、会計時に「牛丼はワンコインなのに、なんで焼肉はこんなに高いの?」とモヤモヤした人に向けて書きました。
生肉を出して客に焼かせるだけなのに「高い!」という違和感は、自然なことだと思います。
この記事では、牛肉の仕入れや設備費といった定番の理由だけでなく、焼肉屋ならではの事情や、ほかの外食と比べたときの特徴も踏まえながら、焼肉が高くなりやすい理由を整理します。
読み終えるころには、焼肉の値段を構造として理解できるようになるはずです。
焼肉が高いと言われる一般的な理由

焼肉が高い理由として一般的に言われるのは、やはり「牛肉そのものが高い」こと。
豚肉や鶏肉に比べると仕入れ値が高く、しかもカルビやタンのような人気部位は注文が集中しやすいため、値段も上がりやすくなってしまいます。
さらに、焼肉屋は仕入れた肉をそのまま全て出せるわけではありません。脂やスジを落としたり、見た目を整えたりする必要があるので、実際に提供できる量は減ってしまう。

生肉を扱う以上、衛生管理や冷蔵管理も厳しくなり、また焼肉店は煙や匂いが強いため、排煙設備やダクトにもコストがかかります。
トータルなお会計で見ると、焼肉は一皿で終わらず、肉を何皿も頼み、ライスやサイドメニュー、飲み物まで積み上がりやすい料理。
こういった条件が重なるので、焼肉は外食の中でも「どうしても高くなりやすい」と言われています。
「経営的な数字」で見る焼肉屋の事情

ここでは冷静に、店の数字で考えてみます。夫婦2人で切り盛りする、24席の個人店という前提です。
生活費を月50万円、家賃を20万円とした場合、町中華は光熱費8万円と雑費5万円で固定費が合計83万円、焼肉屋は光熱費15万円と雑費7万円で固定費が合計92万円になります。
今回は比較のため、原価率は35%でそろえます。すると町中華は毎月128万円、焼肉屋は142万円を売り上げなきゃいけないという計算になりますが…。

町中華が7時間営業(昼3時間+夜4時間)で、満席率を21%とした場合、1席(30分あたり)で稼ぐべき売上は約700円です。
一方の焼肉屋は5時間営業(夜のみ)で、満席率を15%とした場合、1席(30分あたり)で稼ぐべき売上は約1,520円。なんとなく、「ラーメン一杯」と「カルビ一皿」の価格に近いような気がしませんか?
焼肉屋が抱える「品揃えの非効率さ」

でも焼肉屋って、生肉を客に焼かせてるだけなのに、なんで高いの?─ そう思ってしまいがちですが…、実は「ちょっとした事情」もあるようです。
焼肉屋はカルビ、ロース、ハラミ、タン、ホルモンのように、部位ごとに在庫を持つ必要があり、それぞれ売れゆきも違います。
町中華ならネギ、卵、豚肉、中華麺をいろいろな料理に回せるし、オムライスのように共通食材を活かしてメニューを増やすこともできたりする。

でも焼肉屋は、ロースが余ったから別メニューに回す、みたいなことが難しい。しかも人気はカルビやタンに偏りやすく、売れ筋と売れ残りの差も出やすくなります。
また肉だけでなく野菜、ライス、冷麺、クッパ、酒、デザートまでそろえる店も多いので、幅広い食材を抱える必要があり、この在庫管理の負担と非効率さが、値段を下げにくくしています。

焼肉はなぜずっと「高いまま」なのか

焼肉が高い理由として「牛肉そのものが高いから」などと言われることがありますが…、牛肉を使う料理でも、すべてが高いわけではありません。
たとえば牛丼は、牛肉を安く早く食べるために「かなり最適化された料理」で、一人でサッと食べ終わる前提なので、値下げ競争にも向いています。
でもよく考えてみると、牛丼と似てる「すき焼き」は、いまだに安くなっていません。どちらも牛肉を煮て食べる料理なのに、片方は日常食で、もう片方はごちそうのまま。


ここにある違いは「食材そのもの」よりも、その料理を食べるシチュエーションが関係しています。
すき焼きや焼肉は、ただ牛肉を食べるのではなく、囲んで食べる、特別な時間をつくる料理として見られがち。
つまり同じ牛肉料理でも、日常食ではなく「儀式」として使われる料理は、値段が下がりにくいのだと思います。






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