継ぎ足しタレを気持ち悪いと感じる人へ:老舗の美談が生む違和感をほどく

継ぎ足しタレを気持ち悪いと感じる人へ:老舗の美談が生む違和感をほどく 聞くカニ?

「継ぎ足しタレって、なんか気持ち悪い」─ そう感じている方に向けた記事です。

老舗の飲食店でよく語られがちな「タレは創業からウン十年継ぎ足しで守ってます!」という美談に、なんかモヤモヤしませんか? 不衛生だから? それとも感覚的に合わないだけ?

この記事では、そんな違和感の正体を掘り下げながら、継ぎ足しタレの実態と背景、安全性や文化としての側面を丁寧に解説します。

読むことで「自分のモヤモヤは間違ってなかった!」と安心できて、継ぎ足し文化の謎がクリアになります。感情にも理屈にもやさしく寄り添う視点で、お届けしていきます。

継ぎ足しタレにまつわるモヤモヤを探る

継ぎ足しタレを気持ち悪く感じる理由

継ぎ足しタレを気持ち悪く感じる理由

「ウン十年も継ぎ足しで同じタレを使い続けてます」というフレーズに、素直に「すごい」とは思えない人もいます。

とくに家庭で料理をする人などは食材カスや油、焦げ、灰などが毎回混ざることの現実を知っているからこそ、「それって本当にきれいなの?」という感覚が拭えないはず。

しかも昔は現代ほど衛生基準が厳しくなかったことを考えれば、継ぎ足し期間が長ければ長いほど、不安になってしまうのは自然なこと。

なのにテレビや雑誌は「創業から守り続けた秘伝のタレ」などと一方的に美談として語ってくることが多く、余計に違和感が強まってしまいます。

つまり「継ぎ足しタレが気持ち悪い」と感じるのは、衛生面の不安だけでなく、そこにある「語られ方のズレ」に反応しているから、とも考えられるわけです。

継ぎ足しタレの中で何が起きているの?

継ぎ足しタレの中で何が起きているの?

継ぎ足しタレの中では、毎日の営業を通じて「さまざまなもの」が混ざり続けています。たとえば、焼き鳥やうなぎをくぐらせたときの脂、焦げ、灰、小さな食材カスなど。

こういった「目に見えにくい不純物」が、少しずつ積み重なっていきます。飲食店では毎日タレを加熱しているため、腐ることはほとんどありませんし、菌も高温で死滅すると言われています。

でもそれは「安全性」の話であって、「清潔感」とは別の話。実際には、旨味だけでなく「雑味」も溜まっていくのが継ぎ足しタレの本質です。さらに家庭で同じことをやろうとすると、まず失敗します。

これは温度管理が難しく、毎日使って継ぎ足すような流動性もないため、菌が繁殖しやすい環境になってしまうからです。

だからこそ、これはお店だからこそ成立する「特殊な仕組み」として見る必要があります。

老舗が継ぎ足しタレの「なぜ?」を探る

老舗が継ぎ足しタレを使える理由は?

老舗が継ぎ足しタレを使える理由は?

実際、飲食店ではタレが日々の営業で何度も使われ、そこへ新しいタレが継ぎ足されることで、常に動きのある状態が保たれています。

タレは静かに寝かせておくものではなく、営業のたびに加熱されて使われ、補充されるというサイクルが繰り返されます。

つまりじっとしたまま長期間放置されることのない、「沼にはしない」ということ。さらに甘辛いタレは塩分や糖分が多いため、もともと腐りにくいという性質もあります。

また加熱によって雑菌が繁殖しづらかったり、プロの現場では清掃や温度管理も徹底されているため、タレの状態を維持しやすい条件も揃っている。

こういった環境だからこそ、「継ぎ足し」という手法が現場で機能します。家庭で同じように「継ぎ足す」のが難しいのは、飲食店と同じような「動きと管理の循環が再現しにくいから」なんです。

老舗はなぜ継ぎ足して使い続けるの?

老舗はなぜ継ぎ足して使い続けるの?

でも、そもそも「なんでタレを継ぎ足して使い続けるの?」って思いませんか?実はその理由、「美味しくなるから」よりも「扱いやすいから」だと言われています。

タレは毎回いちから作ると、火加減や配合の違いで味にブレが出やすくなります。

とくに甘辛タレは焦げやすく、煮詰め具合ひとつで塩気やコクの強さが変わってしまうため、まったく同じ味を確実に作り続けるのが難しいんです。

でもそこに「安定した味の芯」があれば、この問題も解決します。つまり「継ぎ足し」という方法は、「味の安定装置」としての役割が大きいわけです。

また仕込みの時間短縮にもなるため、忙しい飲食店にとっては有効な手段。

衛生的な不安を持たれやすい方法ではありますが、こういった「作業効率」と「再現性」の両立こそ、継ぎ足し文化が今も残っている理由だといえます。

継ぎ足しタレは素晴らしい!という風潮

老舗がタレ継ぎ足しする「もっと現実的な事情」

老舗はなぜ継ぎ足して使い続けるの?(風潮の正体)

「創業以来、70年継ぎ足し守り続けた秘伝のタレ」と聞けば、すごそうな気がするのは無理もありません。

テレビや雑誌では「老舗のこだわり」と結びつけ、美談として紹介されることが多く、見る側もそれを「良きもの」として受け取る風潮ができあがっています。

でも実際には、「味の安定」や「コスト面の事情」から来ていることが多くあります。

たとえばタレ壺を満たすには大量の調味料が必要ですが、毎日すべてを新しく仕込んでいたら材料費も手間も膨大になってしまう。でも「継ぎ足し」なら少ない追加分で済み、時間も節約できるなど。

なのに「継ぎ足しタレは美味しい!」というイメージだけが先行すると、味や衛生管理の実態とズレたまま肯定される危うさもあるわけです。つまり「あなたのモヤモヤ」、かなり鋭かったみたいです。

店の強みが「タレの歴史」になってしまう事情

比べてみたけど、あんま変わんなくね?

よくよく考えてみたら、鰻屋は「鰻を焼いてるだけ」、焼き鳥屋は「鳥を焼いてるだけ」。軽くみているわけではないのですが、その店独自のメニューやレシピがないのが、この業態の特徴です。

つまり「その店の独自性」をアピールしてライバル店に勝つためには、「創業からずっとタレを継ぎ足します!」って言うしかなかったのかもしれません。

実際、鰻屋には「うな丼」か「うな重」しかなく、穴子の天ぷらはあっても鰻の天ぷらはない。まあ、こんな事情があるのかもしれないので、そっと許してあげてください。

うなぎに天ぷらがない理由:調理法がひとつしか残らなかった高級魚の事情とは | 沼探
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でも実際どう見えるか、最後に確認してみよう

そして最後に、「70年継ぎ足してきた」という鰻の老舗と、「70年毎日作ってきた老舗」という鰻の老舗(どちらも架空のお店です)。それぞれのお店紹介文を読んでみてください。

70年継ぎ足してきた老舗

70年継ぎ足してきた老舗

東京の下町にある、人気うなぎ店「沼炭」。今年でなんと創業70年という、まさに老舗。綾瀬川で獲れた天然うなぎを備長炭で丁寧に焼き上げ、創業以来継ぎ足し守り続けてきたという「秘伝のダレ」が味の決め手です。

70年毎日作ってきた老舗

東京の下町にある、人気うなぎ店「沼鰻」。今年でなんと創業70年という、まさに老舗。綾瀬川で獲れた天然うなぎを備長炭で丁寧に焼き上げ、毎日早朝から仕込んで使い切るという「自家製ダレ」が味の決め手です。

70年毎日作ってきた老舗

やっぱり「美味しそうか?」という観点で見ても、「継ぎ足しタレ」である必要はない気がします。あくまで私の感想ですが…。

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