短編スマホ小説:クオカード付きプランをめぐる、午後三時の小事件。

短編スマホ小説:クオカード付きプランをめぐる、午後三時の小事件。 読むカニ?

私の名前は熊田久真子。
小さな会社で働いている。

鮭とパスタと、
ちょっとお酒が大好きな、
普通の女子だ。

ある日の午後。

「クマ子〜」
「ちょっと悪いんだけど…」
「来週の名古屋出張」
「ホテル予約しといてくれるかな…」

上司は軽くそう言った。

今回は上司一人。
一緒に行きたかったな…。

名古屋へ一泊二日。

でも、新幹線で行って、
そのまま翌日戻るだけ。

はいっ!
予約しておきますっ

私は気を取り直して、
本気でホテルを探し始めた。

駅から近い方がいいよね。
でも、栄のど真ん中はちょっと…。

夜ご飯はどうするんだろ?
コンビニも近い方がいいかな。

でも…
繁華街に近いのは絶対にダメ。
……変な店とか行ったら困るし。

私はマウスを握りながら、
なぜか勝手に”防犯意識”を
発動させていた。

私と一緒じゃないからって
女遊びなんて、絶対に許さないっ!
(ちなみに付き合っていない)

いや…、
何を考えているんだ私は…。

そんなことを思いながら
旅行サイトを見ていると ―

やたらと目に入る文字。

QUOカード1,000円付きプラン
QUOカード2,000円付きプラン
QUOカード3,000円付きプラン

……ん?なんで?

値引きじゃなくて?
朝食でもなくて?
クオカード?

私は隣の葵さんに声をかけた。

葵さん、
なんでホテルってクオカード
付いてるんですかね?

葵さんは一瞬だけ画面を見て、
「うーん…、名古屋は味噌文化だから?」

まったく意味が分からない…。

私はさらにスクロールした。
どこもかしこも、クオカード。

でもこれ…、
会社の出張で予約していいのかな?

宿泊費はもちろん経費。
でもクオカードは上司が受け取る。

それって……大丈夫?

ちょうどその時。

通りかかったのは高橋玲奈。
”鉄の総務”という異名を持つ女性だ。

私は恐る恐る聞いてみた。

あの…、高橋さん、
クオカード付きのホテルって…
予約しても大丈夫ですか?

高橋玲奈は一瞬だけ眉を上げ、
無表情で私を見下ろしながら言った。
「宿泊費は実費精算ですので…」
「上限内であれば問題ありません」
「が……」

“が……”で私は背筋が凍っている。

「クオカード欲しさに」
「高いプランを選ぶようなケース…」
「それが悪質かつ常習的な場合は、」
「会社として”それなりの対応”を」
「検討しますので。」

…!!

冷たいっ。
鋼鉄っ。

そして去っていく背中。

私は24歳だけど、
少しちびった…。

その時だ。
「なんだショートカット」
「お前、そんなことも知らんのか?」

この…心の底からウザい声。
インチキコンサル男だった。

くっ💢
でもおかげで…背筋の氷が溶けた…

「そもそも企業活動っていうのはな」
「コンプライアンスとアカウンタビリティを」
「前提に設計されてんだよ」

「付帯インセンティブ付きの」
「宿泊パッケージを意思決定するなら」
「そのプロセスの合理性を言語化できなきゃ」
「まったく話にならんな」

「ステークホルダーに対して説明可能か?」
「エビデンスベースで語れるのか?」

こんの…!💢

すかさず、葵さんが止めに入った。
「クマ子ちゃん!」
「ど、どら焼き食べよっ」
「お茶入れるから…」

しかしその時、
ウザコンサルのスマホが鳴る。

「お、来客だ」
「じゃあショートカット」
「コンプライアンス遵守だからな?」

来客を迎えに行くため、
慌てて名刺入れを手に取るウザコンサル。

次の瞬間。

パラパラパラ ― ///

床に散らばる大量の…
使用済みクオカード。

一枚、二枚どころじゃない。

十枚以上。

全員沈黙…。

しかし、葵さんが笑いを堪えている。
これはさすがに、
私も怒りがどこかに消え去った…。

「あー!それ、ちょっとリカバリー」
「一次対応は現場でしておいて〜!!」

ウザコンサルは謎のセリフを吐きながら
走って来客を迎えに行ったが…

「クマ子ちゃん…」
「玲奈さんに見つかる前に」
「私たちでリカバリーしとこっか」

はい、そうですね笑

こうして、出所不明
大量の使用済みクオカードは
葵さんと私で片付けた。

それにしても…ホテルになんで
「クオカード付き」プランがあんだろう…?

ホテルになぜ「クオカード付き」プランがあるのか:実は合理的な集客の「切り札」
ホテルに「クオカード付き」プランがある理由を、ホテルや出張者の事情・法律面まで踏まえて解説します。
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