怪盗と泥棒の違いとは?:「どろぼう」の名前にバリエーションがある理由

怪盗と泥棒の違いとは?:「どろぼう」の名前にバリエーションがある理由 聞くカニ?

怪盗と泥棒って、何が違うんだろう?─ ルパン三世や怪盗キッドのようなキャラを見ていて、ふとそんな疑問を抱いた人に向けて書きました。

どちらも同じ「どろぼう」なのに、呼び方が違うのはなぜなのか。この記事では、その違いの正体を言葉の成り立ちや使われ方からひもといていきます。

読めば、フィクションと現実のあいだにある「ことばのズレ」が自然と見えてくるはず。モヤッとしたままにせず、ちょっとだけ言葉に強くなれる。そんな小さな知識をお届けします。

 

泥棒と怪盗は何が違うのか?

泥棒と怪盗は何が違うのか?

泥棒と怪盗。どちらも「盗みを働く人」を指す言葉ですが、厳密な定義の違いがあるわけではありません。とはいえ、日常的に使う場合には「少しだけ違い」があります。

まず泥棒というと、人に見つからないよう「こっそり侵入して盗む」という、静かな犯行の印象が強いかもしれません。

一方の怪盗は予告状を出したり、仮面やマントで登場したりと、「演出込みで盗む」フィクションの存在。アニメや漫画、小説の中で活躍する、ちょっと華やかな「イケメン泥棒」として描かれがちです。

つまりこのふたつの違いは、行為そのものというより「どんな場面で、どう呼ばれているか」という文脈の違いによるもの。

現実世界で「怪盗」と呼ばれることはなく、どちらも物語の中での呼び名だと考えた方が自然です。

 

泥棒と怪盗という言葉の語源

泥棒と怪盗という言葉の語源

さて、「泥棒」という言葉は、もともと「盗人(ぬすっと)」に代わって広まった俗称で、「泥」や「棒」という文字に特別な意味があるわけではありません。

この呼び名は江戸時代、次第に庶民のあいだで使われるようになり、「人のものをこっそり奪う者」全般を指す言葉として定着していきました。

これに対して「怪盗」という言葉は比較的新しく、「怪しい」+「盗む」を組み合わせた造語的な響きを持っています。

20世紀以降の小説や漫画、映画の中で、華やかに振る舞う盗人キャラクターに用いられるようになり、フィクションの中で定着しました。

ただ、いずれも法律上の用語ではなく、警察や裁判で使われることはありません。実際、「本日、怪盗なんちゃらが逮捕されました」なんてニュースで報道されてるの、見たことないですよね?

 

実際には何て呼ばれるのか?

実際には何て呼ばれるのか?

実際、「怪盗」や「泥棒」という言葉は、事件捜査や裁判の場では使いません。どのように盗んだか?によって、「窃盗」「強盗」「詐欺」などの法律用語が使われるのが現実です。

たとえば、こっそり盗んだなら「窃盗」、暴力を使ったなら「強盗」、騙し取った場合は「詐欺」など。こういった表現は、見た目や演出で決まるわけではなく、盗み方で適用されるもの。

つまり派手な演出でイケメンでも「窃盗」、唐草模様の風呂敷でも「窃盗」です。ニュースで「泥棒」という言葉が避けられ、法律用語に言い換えられるのは、正確性を重視しているから。

とはいえ、「怪盗や泥棒」という言葉は今も日常会話やフィクションの中では生き続けている。なので、物語としては、曖昧なまま親しむのも楽しいかもしれません。

ただし「イケメンに限る」…ですが。

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