幸楽苑で見かけた「山形風芋煮らーめん」、どんな味か気になったけれど、結局いつもの中華そばを選んでしまった — そんな人に向けた記事です。
季節限定メニューやご当地アレンジ系のラーメンって、見た目は惹かれるのに一歩踏み出せないこともありますよね。
この記事では、実際に芋煮らーめんを食べて感じた味の印象から、山形の食文化との関係までを素直に掘り下げます。
「食べた方がいいのか?やめた方がいいのか?」と迷っている方の判断材料になるだけでなく、普通のレビューでは触れられない一面にも気づける内容になっています。
幸楽苑の山形風芋煮らーめんを食べた

普段なら、幸楽苑に行くのは夜の時間帯が中心です。家族で出かけて帰りが遅くなった日や、家でご飯を作る余裕がないときなど。でもこの日は少し事情が違いました。
娘が学校の用事で不在だったことに加え、昼ごはんのタイミングを逃してしまったという流れ。そして何より、あまり時間がなかった。そんな状況もあり、妻と二人でサッと済ませようということになり、昼間の幸楽苑へ足を運びました。
席に着き、いつものようにメニューを眺めていると「山形風芋煮らーめん」という文字が目に入ります。普段なら中華そばを選ぶところですが、その日はなぜか妙に気になり、すぐに注文を決めました。

運ばれてきた芋煮らーめんは、見た目からしていつもとは違う空気感。ごろっとした里芋、大きめにカットされたネギ、とろみのあるスープ。立ちのぼる香りは、ラーメンというより和風の煮物に近い印象です。
麺は幸楽苑らしいつるつるとした定番の中華麺。とろみのある出汁スープと組み合わせることで、どこか優しい味わいにまとまっていました。具材はしっかり火が通っていて、特に里芋のホクホク感が印象的。ネギの甘さも立っており、全体として穏やかで落ち着いた仕上がりです。

良くも悪くも美味しい。でも良くも悪くも…それ以上をアピールして来るラーメンではない。真面目に、静かに、胃袋を温めてくれる。そんな評価が似合います。でも実際、次もこれを選ぶか?と聞かれたら少し迷ってしまう。その理由については、もう少し掘り下げてみたいと思います。
芋煮らーめんと山形の食文化を考える

芋煮は、山形の人たちにとって特別な存在です。それは毎年秋になると、川原で大きな鍋を囲んで芋煮会を開くほど。その文化がラーメンという形で登場した今回の芋煮らーめんは、珍しさだけでなく、背景にある食の知恵や暮らしぶりを思い起こさせるものでした。
味の面で言えば、「特別なものを食べた」というよりも、「静かに印象に残る味だった」という感覚です。派手さやインパクトはなくても、どこか気持ちに引っかかる。そこには、芋煮という料理の成り立ちが関係しているように思います。

以前、山形出身の会社幹部と寿司屋に飲みに行ったときのこと。その人は、刺身よりも「わさび菜の海苔巻き」に夢中になっていました。素朴な味を自然と選ぶ姿に、その人が育った土地の気質がにじんで見えた気がしました。
山形という土地は長い期間雪に閉ざされ、かつては食材が限られた環境にありました。だからこそ、身近なもので工夫しながら食を楽しむ文化が育ったんだとか。芋煮はまさにその象徴。でも今、山形はラーメン消費量が日本一。芋煮よりも美味しいものを、すでにたくさん知ってしまっている。それが現在の山形です。

そう考えると、「次は普通の幸楽苑中華そばが食べたい」と思うのはごく自然なことなのかも。文化としての芋煮を知った上で、選ばなくなるという感覚。その少しの後ろめたさと、少しの敬意。その両方が、今回の芋煮らーめんには詰まっていたように思います。

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