なぜカレーにウスターソースをかけるのか?:皿の上で完成させていた食卓の話

なぜカレーにウスターソースをかけるのか?:皿の上で完成させていた食卓の話 聞くカニ?

カレーを食べるとき、ウスターソースをかける人を見てビックリしたこと、ありませんか? 特に親世代や昔のドラマで見かけるこの食べ方…、一体なぜそんなことをするのか ─。

この記事では、この風習が生まれた背景や、数あるソースの中でもウスターが選ばれた理由や地域差。

そして実は…、今でも、アナタも「知らないうちに食べてるかもしれない」ウスターソースカレーについて紹介します。

読むことで「昔の人って変わってたなあ…」ではなく、そのちょっとした「食卓の違和感」が面白く見えてくるはずです。

 

なぜカレーにウスターソースをかけたのか

なぜカレーにウスターソースをかけたのか

カレーにウスターソースをかけるのって、今の感覚だとちょっと意外かもしれません。でも、昔の食卓ではそれがごく自然な風景だったようです。

というのも、当時の家庭カレーは今ほど味が整っておらず、誰かの好みに合わせて鍋の中の味を変えることも難しかったから。

みんなで同じ鍋を囲んで食べる中で、自分の皿の上だけでちょっと味を整える ─ そんな食べ方が当たり前のように受け入れられていたのでしょう。

ウスターソースは、その「自分だけのひと工夫」として選ばれていたのだと思われます。皿の上でウスターソースを足すことで、自分にとって「ちょうどいい味」に仕上げる。

その自由さが、当時の食卓にはちゃんとありました。それは「天ぷらそば」に七味を振ったり、ラーメンに胡椒をかけるのと同じくらい、自然なことだったわけです。

ラーメンに胡椒をかけるのはなぜ?:街中華に息づく調味料と食文化の話
ラーメンに胡椒をかける理由を紹介。卓上調味料から見える日本の食文化の謎を探ります。

 

なぜウスターソースじゃなきゃダメなのか

なぜウスターソースじゃなきゃダメなのか

でも…、なんでウスターソースなの?中濃ソースじゃダメなの?─ この疑問には、味と文化の両面に理由がありそうです。

まず、ウスターソースはサラッとしていて、ひと回しかけても重たくならず、ほんのり酸味とスパイスが加わる程度。つまりカレーの味を壊さず、少しだけ風味を変えるには「ピッタリな選択肢」なんです。

一方の中濃ソースは甘みやとろみが強く、カレー全体の印象を変えてしまいます。つまり「少しだけ整えたい」 ─ という距離感には、ウスターソースが向いていた。

また、「ソースと言えば中濃ソース!」という関東に対し、関西は料理のジャンルに合わせて色々なソースを使い分ける文化圏です。

特に「料理の調味料にはウスターソース」を用いることが多いため、この食べ方が自然と受け入れられていったのではないでしょうか。

 

気づかずに食べてるウスターソースカレー

気づかずに食べてるウスターソースカレー

今でこそカレーにウスターソースをかける人は少なくなったようですが…、実は多くの人が知らないうちに「ウスターソースカレー」を食べています。

なぜなら、市販のカレールウやレトルトカレーの中には、ウスターソースに近い調味料が「隠し味」として使われているから。「深みとコクがあって美味い!」と感じたのは、実はソースのおかげかも。

また、家庭でも「隠し味にソースを入れる」というレシピは根強く残っています。つまり、ウスターソースを「かける」文化が廃れても、「使う」文化は残ってる。

たとえばゴーゴーカレーのように、カツにソースをかけるスタイルも、ある意味「カレーにソースをかけている」とも言えるでしょう。

皿の上で「自分好みに仕上げる」感覚が今も息づいていることに気づくと、その味がより愛おしく感じられるかもしれません。

警察の取り調べはなぜカツ丼?:あの名シーンを生んだ「警察とメシの関係」
刑事ドラマの定番「カツ丼の名シーン」はなぜ生まれたのか?意外な現実との接点も解説します。
蕎麦屋にカツ丼があるのはなぜ?:街の食堂として生きてきた「そば屋の正体」
そば屋にカツ丼があるのはなぜ?町の食堂としての歴史や厨房事情から、その違和感の正体をひも解きます。
カレーが食べたい時 足りない栄養素とは?:欲求のサインをゆるく読み解く
カレーを無性に食べたくなる理由を解説。スパイスや心のサインから不足栄養まで、欲求の正体に迫ります。
レトルトカレーはなぜカロリーが低いのか:ダイエット飯として成立する条件と工夫
レトルトカレーが低カロリーな理由と、ダイエットで使う際の工夫を解説します。
レトルトカレーパスタがまずい理由:食べた瞬間に感じる「あれ…?」の正体 | 沼探
カレーもパスタも大好き。だから合わせれば間違いなくうまい ― そう思って試した結果「え、なんでこんな微妙なの?」と首をかしげた人も多いのではないでしょうか。 この記事ではレトルトカレーパスタがなぜ美味しく感じられないのかを、味の設計・盛り方
カレーショップC&C:「美味い・まずい」を言わずに伝えきる沼メシレビュー | 沼探
料理の味を「ありきたりな表現」ではなく、その場の空気感まで知りたい!という人に向けて真正面から伝え切る「沼メシレビュー」シリーズ。 今回ご紹介するのはカレーショップC&C、特に「秋葉原店」に関する空気感をお伝えします。なお、最寄り沼
カニカカ日誌
カニカカ日誌TOPページへ戻る

 

コメント