短編スマホ小説:盲腸より衝撃だったのは、病院の支払い方法だった。

短編スマホ小説:盲腸より衝撃だったのは、病院の支払い方法だった。 読むカニ?

俺の名前は神沼龍司。

全国を飛び回り、
数えきれない修羅場を越えてきた、
腕利きのコンサルだ。

だからその日も、
俺が主導で、商談を回していた。

資料の説明も
いよいよ大詰めという時…

違和感があった。

最初は、
みぞおちの奥。

鈍い痛み。

(……昼メシか?)

俺は無視して、話を続ける。

だが数分後、
痛みの場所が変わった。

右下腹。
今度ははっきり痛い。

「……少し失礼」

椅子に座り直す。
冷や汗。

視界が少し揺れる。

ショートカット女の上司が気づいた。
「神沼さん、大丈夫ですか?」

問題ない。続けましょう。
と、言い切った瞬間だった。

ズキン!!

ぐっ!!

思わず机を押さえた。

ショートカット女が言った。
「顔、白いですよ?」
「普段はキモいだけなのに」

一言多いっ!

ぐはっ…!!
次の波が来た。

さすがにもう無理だと悟った。
これは気合じゃ、どうにもならん。

……きゅ、救急車を。

そう言ったところまでは、
覚えている。

――

気づいたら、病室だった。

白い天井。
消毒の匂い。
手首のリストバンド。

医者が言った。
「虫垂炎ですね。いわゆる盲腸です」

なるほど。
理屈は分かった。

だが納得はしていない。
俺が倒れるとはな…。

ベッドの上で腕を組む。

まあ、俺くらい働いてれば、
体が休めと言うのも当然か。

独り言を言っていると、
扉が開いた。

“一言多い”ショートカット女と
その上司だった。

「神沼さん、大丈夫ですか!?」
上司は本気で心配している。

だがショートカット女は…
「変な肉でも食べたんじゃないですか?」
「モー腸なんて」
「牛の腸詰めみたいな病気になって」

くっ……。

「で、入院中って何してるんですか?」
「さっき廊下までブツブツ」
「独り言が聞こえてましたけど笑」

うるさいっ!
静養だ。

「でも実際、暇でしょう?」
今度は上司が言ってきた。

まあ、
こんな事初めてですからね…。

「あ、これ!会社の皆から」
「神沼さんへお見舞いです!」

そう言うと、
上司は俺に箱を手渡した。

ご、ご丁寧にどうも…。

「社用ノートPCです」
「しかも神沼さんの笑」

それは”お見舞い”って
言わねえだろおおお!

「ちなみに充電切れてるんで」
「しばらくしてからですね」
「使えるのは笑」

こいつ…
だんだん性格が
“ショートカット女”化してやがる…。

「あと、広報担当の佐藤葵から」
「伝言預かって来ましたよ」
「あの子、すごく心配してて…」

えっ!♡
さ、佐藤さんが?
私のことを心配??

なんて?なんて伝言を?

「明日〆のキャッチコピー案の件」
「締切厳守なので」
「盲腸切ったら即対応して下さいね」
「だって♡」

ぐはあああ!
やりますよ!
やりますともお!涙

その様子をニヤニヤ見ていた
ショートカット女が言う。
「暇ならテレビとか見ればいいのに」

リモコンを押す。
しかし、つかない。

「あれ?壊れてますよこれ」
ダンダン叩く。

お、おいっ、やめろ!
故障ではない。
まだテレビ代を支払ってないんだ。

俺はポケットから
クレジットカードを出した。
もちろん、ゴールド。

これで払ってきてくれ。
“入院中のテレビ代、プライスレス!”

そう言えば、
買えないものなどないはずだ。

ショートカット女は固まっている。
「え…、私スマホ決済しか…」

しかし、上司は吹き出した。
「神沼さん、それ使えませんよ」

な!なに?

「テレビカードじゃないと」

沈黙。

「現金でテレビカード買ってこないと」
「テレビ見れないです笑」

ショートカット女が首をかしげる。
「テレビカードって何ですか?」
「金色の?」

上司は財布から千円札を出し…
「クマ子、悪いんだけどさ」
「ナースステーションの所で」
「一枚買ってきてくれる?」

ショートカット女は
初めてのおつかい任務で
病室を出て行った。

俺は天井を見る。
……なんだこの病院は。

ゴールドカードが使えないだと?
ありえない…。

しばらくして
ショートカット女が
テレビカードを持って戻ってきた。

俺はどうやら、
ゴールドカードでテレビが見られない
ショボい病院に運ばれたようだ。

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