短編スマホ小説:あのポエムが痛かった理由を、先輩の恋バナで知った夜。

短編スマホ小説:あのポエムが痛かった理由を、先輩の恋バナで知った夜。 読むカニ?

私の名前は熊田久真子。
小さな会社で働いている。

鮭とパスタと、
ちょっとお酒が大好きな、
普通の女子だ。

仕事終わりのオフィスは、
昼間より少しだけ
本音が落ちている。

「クマ子ちゃん、ちょっといい?」

葵さんは、わたしの先輩。

いつもと同じ
柔らかい声でそう言った。

でもその日はなぜか、
目を合わせるタイミングが
少し遅い。

「このあと、少しだけ時間ある?」
「お茶でもどうかな…」
「ここだと話し辛くて」

断る理由なんて、最初からなかった。

二人で入ったカフェは、
会社から二駅離れた、静かな場所。

仕事の話をするには少し暗く、
恋の話をするには、
ちょうどいい明るさ。

「変な相談かもしれないんだけど…」

葵さんはそう前置きして、
スマホを伏せたまま、指で縁をなぞる。

「誰とは言えないんだけどね」
「ちょっと…」
「重たいメッセージをもらって」

“重たい”という言葉の選び方が、
もう答えだった。

「見てもらってもいい?」

私は一瞬だけ迷ってから、
うなずいた。

画面に並んでいたのは、
感情を詰め込みすぎて、
行間が息苦しくなっているポエムだった。

“君を前にすると”
“言葉はいつもスコープを外れる”

“世界はふっと静まり”
“僕はプロジェクトを進める理由を”
“再定義するんだ”

“君となら名もない海を迷いながら”
“それでもコンセンサスを重ねて”
“航海を続けられる気がした”
“二人だけの海図で”

“愛している、葵”

“それは説明じゃなく”
“最終アラインだ”

“この想いを君のナイトフェーズに”
“そっとデリバリーしておく”

…。

……読んだ瞬間、
私は少し吐きかけた。

葵さん。
これ、あのウザコンサル男じゃ…

この言葉の並び、アイツ以外いない。

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「正直、どうしたらいいか分からなくて」
葵さんは困ったように笑った。

「気持ちは嬉しいっていうのも違うし」
「でも、軽く流すのも失礼な気がして」

葵さんはウザコンサル…
じゃなくて、あの人のこと、
どう思ってるんですか?」

聞いた瞬間、
自分でも少し驚いた。

「受けるわけないでしょ」
即答だった。

「私、他に好きな人いるもん」

その一言で、空気が少し変わった。

私は何も言えず、
ただ葵さんを見る。

葵さんはカップを持ち上げたまま、
視線を落とした。

「……それ以上は、内緒」

そう言って笑った顔は、
私が知ってる“優しい先輩”の
葵さんだった。

「クマ子ちゃんの言う通りだよね」
「気持ちがないなら、ちゃんと断らないと」

……はい。

ひと段落したところで、
私は気になっていた疑問を口にした。

でも葵さん……
なんで私に相談してくれたんですか?

「……え?」
カップを持つ手が止まり、
葵さんの視線が、少し泳いだ。

いや、なんで私なんだろうって…。

すると葵さんは、
観念したように小さく笑った。

「……クマ子ちゃんってさ」
「なんか……恋愛の“感じ方”が」
「私と似てる気がしたから」

そして葵さんは、
そのまま言葉を滑らせた。

「クマ子ちゃんだって……」
「好きな人くらい、いるでしょ?」

えっ!?
い、い、いません!!

完全に裏返った。
この声、絶対カフェで響いてる。

「あ、ごめん……でもさ」
「いつも“上司”と二人で」
「仲良くしてるじゃない?」

「凸凹コンビとか言われて笑」

~~~~っ!!

心臓が一瞬止まった気がした。
なんでピンポイントで刺してくるの…。

焦りすぎて、
私は逆に聞き返してしまう。

じ、じゃあ葵さんの好きな人も
社内の人なんですか?

“も”

私はここで墓穴を掘っている。
だが、”そんな凡ミス”を見落とすほど、
葵さんも動揺していた。

「えっ!? ち、ちが……いや、違…」
「いや違うのか……いや違……う……? 」
「いや、その……!」

葵さんの語彙力が蒸発していく。
私は心の中で思った。

ふぅ〜ん。社内か。

…。

「今日はありがとうね、クマ子ちゃん」
「相談、聞いてもらえて助かった」

いつも通りの柔らかい笑顔で
葵さんは駅の階段を上っている。

私はホームで電車を待ちながら、
さっきのポエムを思い出していた。

名もない海 ─ 航海 ─ 海図

からの…、
スコープ、コンセンサス、アライン。

おえ…吐

……いやもう、痛すぎる。
笑うしかない。

でも、ふと思う。

ポエムが痛いのか…
コンサルがウザいのか…

うーん…、どっちもか…。

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