何気なく見ていたあのコントやアニメの中で、「泥棒」といえば唐草模様の風呂敷を背負ったあのスタイル。でも、よく考えると…なぜ唐草模様?
実際の泥棒って本当にあんな格好をしてるの?─ そんな素朴な疑問を持った人に向けて、この記事を書きました。
物語の中で「分かりやすさ」を優先した結果、唐草模様の風呂敷が「泥棒の必須アイテム」になってしまったその経緯とは?
現実とのギャップと、映像を作る側の工夫をひもといていきます。読み終わるころには、あの風呂敷が「意味のない決まりごと」ではなかったことに気付くはずです。
泥棒はなぜ唐草模様の風呂敷なのか

唐草模様の風呂敷を背負った「本物の泥棒」を見た!─ と言う人は、多分いないでしょう。コントやアニメの中で見たはずです。
でもコンテンツの中で「この人は泥棒です!」と伝えるためには、シンプルな「符号」が必要でした。
ここでは泥棒の姿を忠実に再現することが目的ではなく、説明抜きで「泥棒だ」と認識してもらえるイメージが必要だったわけです。
でも、それがもし「ガチめの怖い姿」だったらどうなるでしょう?当時のコンテンツは一人ひとりがスマホで観る前提ではありません。
家族全員がお茶の間に集まって観るのが前提なので、泥棒の見た目が怖かったら笑えない。あるいは、子供が怖がってしまうという問題もあったでしょう。
唐草模様の風呂敷は、悪者でありながらどこか「間の抜けた雰囲気」を出せる絶妙なアイテムだったわけです。
実際の泥棒は本当に唐草模様なのか

唐草模様の風呂敷を背負った泥棒はフィクションの中だけの存在で、実際の泥棒があんな格好をしているわけではありません。
ではやっぱり…テレビに映せないような「ガチめの怖い姿」をしているのか?答えはNOでしょう。実際の泥棒は、周囲に溶け込むような地味な服装を選びます。
なぜなら、目立つ服は警戒されやすく「通報のリスク」が高まるから。怪しい風貌よりも、普通の作業着や日常着のほうが自然で、周囲の注意を引きません。
なので「怖そうに見えること」より「気づかれないこと」を優先するのが、現実的な泥棒戦略です(経験はないですが…)。
でもコンテンツの中では、「普通の作業着や日常着」を着ている役者を見ても、視聴者はそれを「泥棒」だと認識できません。
なので、唐草模様という「分かりやすい泥棒イメージ」が利用されたわけです。
唐草模様の風呂敷以外ではダメなのか

その「怖くなくて分かりやすい泥棒イメージ」ですが…、「キャリーケース」や「リュック」でも良かったんじゃないの?─ そんな疑問が出てきます。
でも、それだと「自分の荷物を運んでいる人」にしか見えません。あまりにも整った姿では、盗んだものを抱えて逃げるような「泥棒イメージ」は成立しづらいんです。
風呂敷はその場で慌てて包んだような切迫感があり、動きにも緊張感がにじみます。しかも唐草模様は、当時の家庭にごく普通にあった日用品。
だからこそ、生活感のなかに「盗まれた感・盗んだ感」が出てきます。つまり、唐草模様の風呂敷こそ「怖くない間抜けな泥棒」のイメージにピッタリだったわけ。
そんな「都合のよさ」をすべて兼ね備えた「唯一無二の泥棒アイテム」として、コンテンツの中に定着していったのが、唐草模様の風呂敷なんです。







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