しんぱち食堂のメニューに並ぶ「殿様いわし定食」。気になったことはあるけれど、頼んだことはない ─ そんな方に向けてこの記事は書いています。
「殿様」とは言うものの、いわしでしょ?と思いつつ、普通のいわし定食との違いや、実際の満足度がよく分からないという声は多いはず。
この記事では名前の由来や定食としての内容、他の焼き魚との比較まで、実食を通して丁寧に掘り下げていきます。
読み終えるころには、殿様いわしを頼むかどうか迷っていた自分にひとつの判断軸ができているはずです。食べるか、見送るか ─ そのヒントを、この記事から持ち帰ってもらえたらと思います。
殿様いわしとはどんな魚なのか
殿様いわしの名前と由来の特徴

しんぱち食堂のメニューに並ぶ「殿様いわし定食」。実はこの「殿様いわし」、実は特別な種類というわけではありません。
いわしの中でも、ひときわ大きく育ち、脂ののったものをそう呼んでいるそうです。つまり「殿様」というのは見た目や質感に対するちょっとした称号のようなもの。
実際に運ばれてきた「殿様いわし」を見てみると、皮には程よい焼き色が入り、表面には脂がうっすらとにじんでいます。香りも落ち着いていて、焼き魚としての仕上がりはかなり丁寧。
サイズ感はたしかに立派ですが、名前のインパクトに比べると、やや控えめにも感じられました。少しだけ肩すかし。でも、その名に込めた期待も含めて、店の遊び心なのかもしれません。
普通のいわし定食との違いを比べる


しんぱち食堂では「殿様いわし定食」のほかに、いわしが三尾盛られた「3羽いわし定食」もラインナップ。どちらも「いわし」を主役にした構成ですが、その印象は大きく異なります。
まず「3羽いわし定食」のいわしは小ぶりで骨もやわらかく、頭から尾までガブっとまるごと食べやすいのが特徴。いわしらしい香りも感じられ、青魚特有の風味をしっかり味わえます。
一方の「殿様いわし」は一尾のみの提供ですが、サイズは明らかに大きめ。脂がよくのっていて、香りはまろやか。焼き目の入り方も落ち着いていて、どこか丁寧な印象がありました。
骨はやや硬さがあるものの、そのまま食べる程度の適度な歯応え。どちらを選ぶかは、好みとその日の気分次第です。
殿様いわし定食のカロリーと栄養

しんぱち食堂の公式サイトやメニュー表ではカロリーに関する表示がありませんが、内容からおよそ700kcal台と考えられます。
いわしにはDHAやEPAといった不飽和脂肪酸が豊富に含まれていて、カルシウムやビタミンDなども摂れるため、栄養面では頼もしい存在。
この定食に添えられているのは「大根おろしと漬物」。そして味噌汁は木製の大きなお椀にたっぷり入って中央にどーん。
今回訪れた店舗では白米か玄米(数量限定)を選べるようになっていて、今回は玄米を選びました。玄米の香ばしさと、脂ののったいわしとの相性は味も見た目の風情もナカナカのもの。
なにより外食なのに栄養のバランスもバッチリです。外食で青魚を取り入れたいときには、候補に入れておきたい定食です。
殿様いわし定食を食べて分かったこと
殿様いわしを注文したときの第一印象

注文して待つこと数分。運ばれてきた定食の主役は、焼き目の入った「いわしの殿様」。黒い皿に静かに置かれたその姿は、名前の「殿様」に反して、意外にも控えめな印象です。
ただ皮の表面には香ばしい焼き色が広がり、ところどころに浮かぶ脂の照りが焼き魚らしさをしっかりと伝えてきます。
まわりを囲むのは玄米、大根おろし、漬物、そして味噌汁。定食としての構成はごく素朴で、気取ったところはありません。でもそのぶん、焼き魚の仕上がりが自然と目に入ります。
派手さやインパクトではなく、焼きの丁寧さと全体の落ち着きで魅せてくるタイプ。想像していた豪快な「殿様感」とは少し違いましたが、逆にこういうメシのほうがいい、そんな気もしてきます。
脂のりと味わいとご飯の相性

箸で皮を割ると…、中からにじみ出るのは、しっとりとした脂。広がる香りはどこかやさしくて、思わず一瞬、手を止めたくなるような気配があります。身はふっくらとしていて、塩加減は控えめ。
脂の甘みと皮の香ばしさが口の中でじんわりと広がり、ご飯が進みます。いわし特有の風味は残りますが、クセが前に出すぎることはなく、脂がそれをしっかり包み込んでいる印象。
今回は玄米を選びましたが、ぷつぷつとした食感と「殿様の脂」のなめらかさが対照的で、食べていて飽きがこない組み合わせです。
途中で大根おろしを添えると後味が引き締まり、もうひと口という気分にさせてくれます。派手な主張はありませんが、一口ごとにちゃんと気づきがある。そんな満足感のある焼き魚です。
鮭やサバと比べたときのおすすめ度

しんぱち食堂の焼き魚といえば、鮭やサバといった味の輪郭がはっきりした定番が並びます。どちらも白飯との相性は申し分なく、ひと口目から満足感が伝わってくる、そんな分かりやすい存在。
それに対して「殿様いわし」は、どこか謎めいていて敬遠されがちな存在。確かに強い主張はありませんが脂の質はなめらかで、青魚らしい香りもほどよく、しっかりとした厚みがあります。
それは味の押し出しで勝負するのではなく、定食全体のバランスで食べさせるような印象。玄米や味噌汁と合わせたときの一体感も自然で、日常の食事として選びたくなるやさしさがあります。
サバの力強さ、鮭の香ばしさ、そして殿様いわしの静かなまとまり。それぞれに役割があり、その日の気分で使い分けたくなるラインナップでした。
まとめ
名前にインパクトはあるけれど、出てくるのは一尾の焼き魚。しんぱち食堂の「殿様いわし定食」は、そんなちょっと肩の力が抜けた存在でした。
脂ののりや焼き加減はしっかりしていて、玄米や味噌汁との組み合わせも落ち着いています。食べる前に想像していた「殿様感」とは違いましたが、それが逆にちょうどよかった。
定食としての構成は素朴で、名前ほどの派手さはない。でも一口ごとに味の輪郭が見えてきて、最後にはちゃんと満足感が残ります。
気分でサバや鮭を選ぶのもありですが、「今日はなんとなく静かに食べたいな」というときに、この定食がちょうどよくフィットする気がします。
書きで驚かせるのではなく、食べ終えてから「よかったな」と思わせてくれる殿様でした。

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